2006年3月20日月曜日

「観光立国:国は手を引け!リピータ確保戦略は民間で」(リクルート柏木社長)



今朝の日経「領空侵犯」コラムでリクルート社長の柏木斉氏がいいことを言っている。メモ。散人の「秘策」もご披露する。

柏木氏の発言抜粋:
  1. 観光産業はサービス業。攻め方の基本がある。それはターゲットを定めること。政府の進める「ビジット・ジャパンキャンペーン」からはそれがまったく伝わってこない。
  2. この政府の政策には地域振興策が見え隠れしている。観光立国に向けた基盤整備なんて話も出てくる。このままでは商店街対策の二の舞になる。
  3. サービス業はリピーターを増やさない限り成長はない。日本をもう一度訪れたいと海外の人が感じる存在価値を探し出さねばならない。
  4. 日本の観光地が長期滞在型にならないのは、面の展開が出来ていないから。縦割り行政の弊害。
  5. 山奥の旅館でマグロが出てきても誰も喜ばない。もっと地元と交流するような仕組みが必要。
  6. 観光はそこでしか味わえない品質と価格が見合うことではじめて成り立つ。利用者(観光客)の満足を掘り起こすのは民間の鋭い嗅覚でないとだめでしょう。

まさにその通りだと思う。年に一度の「ハレ」のオケーションとしての観光地一泊旅行というのは、確実に古くなっている。一人一泊5万円ぐらいぶったくったとしても年一回ではたかが知れている。日常的にその地に観光客を引き寄せる戦略が重要なのだ。具体的に言えば、外国人に「ここに住んでみたい!」と思わせないとだめ。欧米の観光地は、軒なみ外国人の別荘地でもある。これは重要な点だ。

で、リピータ確保の戦略として何をなすべきだが、手前味噌ながら山中湖村はとてもよくやっていると思う。大正以来の一貫した観光戦略があった(ここ)。山中湖では近所に外国(北欧の国)大使館の寮があるが、年を通じてほとんど毎週末誰かが來て泊まっている。彼らはハイキングしたり、ジョギングしたり、サイクリングをする程度で、地元のレストランなどでそれほど散財をしているようには見えないが、それでも毎週だから合計としては結構お金を落としている。固定費用だけを考えても、固定資産税とか維持管理サービス料とかで、年に数十万円は地元に落としているだろう。年に一度一泊5万円払って豪遊してくれる客よりはるかに地元のためになっている。もちろん富士山のおかげだが(日本はいまだに「フジヤマ、ゲイシャの国)。富士山なら河口湖でも見られるから、やはり山中湖村の成功は、きっちりとした開発戦略のおかげだ。上のリンクエントリーに挙げてある本(『富士山北麓観光開発史』)はとても参考になる。

話は東京に飛ぶが、日本で一番外国人観光客が訪問する都市は東京。その東京の中で外国人観光客が一番訪問する地域はどこかご存じだろうか。新宿区なのである。ここ。これは何でだか考えてみることがとても重要である。もちろん富士山のおかげではない。盛り場として面白いということももちろんあるが、それより重要なのは新宿区の人口に占める外国人比率が日本で一番高いと言うことなのだ。外国人観光客は日本に知り合いとかがおればそこを訪問するのである。

政府は2010年には外国人観光客の数を現在の年600万人から年1000万人に増やしたいといっている。でもそのための具体策が見えない。そこで散人の「秘策」。外国人の入国管理規制を緩和すればいい。日本の外国人在留者数が増えれば、必然的にそれに応じて外国人観光客数が増える。1000万人なんて簡単に達成できる。