2007年1月27日土曜日

「富士河口湖町は富士山世界遺産の登録地域から外して欲しいと言っている」(野口健)



週末になったから山中湖から東京に帰ってきた。東京では日経夕刊が読める。そこで目にしたのが、野口健 のこの記事。富士河口湖町の町長さんが公式に明言しているという。あらら、驚いた。

日経新聞「野口健のガイア礼讃」から部分引用:
富士山を世界遺産に、と声を上げれば地元の人も協力してくれると思ったら、それは甘かった。「世界遺産になったら規制ばかり増えて、今まで通り好きに商売が出来なくなる」という人たちの抵抗は根強い。実際、今回の暫定リスト入りに対し、富士河口湖町の小佐野町長は「開発への規制が増えると町民から反発が起きている。河口湖を登録地域から外すよう山梨県にお願いをした」と語った。環境問題は詰まるところ人間社会のドロドロとした部分に突き当たる。

やっぱり河口湖、商業主義の権化だ、という印象。この辺りについては、すでに書いた:

山中湖村と河口湖町はどうしてあんなに雰囲気が違うのか? 

ところが最近、河口湖では「環境を守るため」と言うことで、ブラックバス釣りを実質的に禁止する「ワーム禁止令」を発令。NHK山梨で詳しく報道された:

NHK山梨:河口湖でワームの使用禁止正式決定! 

一旦は納得した散人だが、テレビで見ていると、バス釣りを擁護するのはバス釣り産業で地元を盛り上げていこうという若い漁協関係者だけ。それに対して年寄りの漁協関係者は声を荒げて「河口湖の環境が問題になっているのだ!」と若者の発言を封じていた。これがどうにも気になっていたがようやく分かったような気がする。結局こういうことだろう。最近のブラックバスブームにかかわらず年寄り漁協関係者はバス釣りなんかには無縁だから、せいぜいワカサギ釣り用の俗悪なお座敷釣船を作って儲けることしか考えない。若者はそんなのには見向きもしないのであいつらの商売が減っている。儲けているのは若くてナウな漁協組合員ばかり。若者なんぞに漁協の主導権を取られてなるものかと環境問題を口実に一挙に反撃に転じたということではないか。いやはや老害だ。

現実には、河口湖の年寄りたちは環境保全論者なんぞではなく、富士山の文化遺産指定にも大反対なのだ。自分の儲けが掛かってくると、環境なんて二の次にして、とても商売にご熱心なのである。

今週、山中湖のホテルマウント富士に食事に行った。あそこからは山中湖ばかりじゃなくって河口湖も遠望できる。遠くにみえる河口湖は、湖岸沿い山肌が開発で醜く痛めつけられており、思わず目を背けてしまった。地元の利権者に自然を任せておくと、ニッポンの自然は著しく醜いものになってしまうということを実感。日本の自然は地元に任せておけば飛んでもないことになってしまう。これは今まで全国津々浦々で実証されてきたことだ。今回選挙対策がらみで決定した自民党政権による地元農業団体に「自然保護(農地と水対策)」との名目で地方に財政資金をばらまくという政策は、同じ過ちを繰り返すという意味で、とんでもない見当違いなのである。

Posted: Sat - January 27, 2007 at 09:32 PM   Letter from Yochomachi   山中湖   Previous   Next  Comments (2)